2013年5月6日月曜日

韓日の物価逆転、いよいよ本格化: 円安後の両国の物価を比較

_




朝鮮日報 記事入力 : 2013/05/06 07:06
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/06/2013050600372.html

韓日の物価逆転、いよいよ本格化
円安後の両国の物価を比較

 4月14日、福岡県の「魚べい」という回転ずし屋を訪れた。
 中央駅近くの家電売り場の4階にあったが、店内の至る所から韓国語が聞こえてきた。
 以下は、近くの席で話していた人たちの会話内容だ。

 「1皿105円なら安い方でしょう。今のレートで1200ウォンくらいだから」
 「ソウルに『スシロー』という回転ずしチェーンが進出したけど、そこで一番安いのが1皿1700ウォンだよ。 
 高いのは3600ウォンもする」。

 ソウルに3店舗をオープンしたラーメン店「一風堂」は、福岡に本店がある。
 一昨年5月にソウル店をオープンした際、韓国と日本の為替レートは大きな開き(100円=1300ウォン水準)があった。
 一風堂の看板メニューである「赤丸新味」を日本の値段に合わせると、1万ウォン以上に跳ね上がる。
 しかし「ラーメンは安いメニュー」という韓国人消費者の先入観、さらに昼食時の「1万ウォン抵抗線」のため、値段を9000ウォンに引き下げた。

 福岡市中央区にある一風堂本店にも韓国人の客がいた。
 「本場のラーメンを味わってみたい」という人たちだった。
 ところでここでも、メニューを見ていた韓国人観光客が値段に対する会話を交わしていた。

 「おっ、ソウルの一風堂よりも安いね」
 「800円だから、11倍すると8800ウォンだ」

 翌日、福岡からソウルに戻る機内で、韓国人の乗客2人が次のような話を交わしていた。

 「今となっては日本の物価も大して高くないね」

 「でも、変だよな。
 円安になったとは言っても為替レートはいまだに11倍。
 6年前に7倍だったころ、日本と韓国の物価はちょうどいいと思っていたけど、今では11倍でちょうどいい気がする」

 4月23日、こうした疑問を解決するニュースが飛び出した。
 韓国と日本のビッグマックの値段が4年ぶりに逆転したというニュースだった。

■韓日ビッグマック価格逆転の秘密

 ファストフードチェーン、マクドナルドの看板メニュー「ビッグマック」は、マクドナルドが進出している国ではほぼ同じような品質で販売されている。
 ところで、ビッグマックの値段は国によってずい分違う。
 物価と為替レートが別々に変動するためだ。
 ビッグマックの値段が競合国よりも高ければ、物価が高過ぎるか、その国の通貨が高く評価されているということを意味する。
 これを換算する「ビッグマック指数」というのもある。

 現在、韓国のビッグマックの値段は3900ウォン、日本のビッグマックの値段は320円だ。
 4月25日現在のウォン・円レートを適用すると、日本のビッグマックは現在3520ウォンということになる。
 韓国のビッグマックが380ウォン高いわけだ。
 価格が逆転した正確な日付を調べてみると、為替レートが12.2倍になった今年1月3日だった。

 ビッグマックの値段が相対的に変化した二つの理由は、
 韓国と日本の経済がこれまで数年間、どのような経路をたどってきたかを表している。
①.一つ目は、2009年に100円=1600ウォン水準にまで跳ね上がったウォン・円レートは、最近の円安により100円=1100ウォンにまで低下したという点だ。
②.そしてもう一つは、韓国のビッグマックの値段が日本に比べて大幅に値上がりしたという点だ。

 韓国マクドナルドは07年からこれまでビッグマックの値上げを4回も行い、実に34%も値上げした。
 日本マクドナルドは6年間で1回、14%を引き上げた。
 両国ともに値上げしなかったら日本のビッグマックの方が韓国に比べ180ウォンほど高かったはずだ。
 これは、為替レートと同じくらい、韓国の値上げが韓日のビッグマックの価格逆転の重要な理由となっていることを物語っている。
 もちろん、こうした現象は何もビッグマックに限ったことではない。

 極端的なケースが両国の代表的なランチメニューであるソルロンタン(牛のスープ)と牛どんの値段の変化だ。もちろん、ソルロンタンと牛丼は味や質、量的な側面で単純な比較はできない。しかし、これらの相対的な価格の変化は20年にわたって韓国と日本の経済がどのような道を歩み、価格逆転の時点がどうして早まったのかを説明している。

 日本の代表的な牛丼チェーン「吉野屋」の牛丼は17年前(1996年)に400円だった。
 ところで今は280円まで下がっている。
 日本経済のデフレーション(物価下落)とランチ市場をめぐる牛丼チェーンの激しい価格競争がもたらした、劇的な値下げの賜物だ。

 韓国のソルロンタンの場合、その逆で粘り強く値上げの道を歩んできた。
 ある大型店の17年前のソルロンタンの値段は3500ウォンだった。
 その後、値下げが行われたことは1度もない。
 そして現在、同店のソルロンタンの値段は9000ウォン。
 17年にわたって日本の牛丼の値段は30%下がったが、韓国のソルロンタンの値段は150%引き上げられたというわけだ。
 キムチの材料である白菜の値上げや、口蹄疫発生の影響で牛肉の値段が上がるたびに、ソルロンタンの値段を引き上げてきたためだ。

■スターバックスやユニクロでも価格の逆転現象

 ビッグマックで起きた価格の逆転現象は、ほかの品目にも拡散している。
 ビッグマックのように国際的に比較可能な品目の一つが、世界最大規模のコーヒーチェーン店、スターバックスコーヒーだ。
 比較可能な両国のスターバックスの六つのメニューを比べると、4月25日現在、3品目の価格が逆転していた。
 カプチーノ、キャラメルマキアート、ティーラテだ。
 このうち、カプチーノのトールサイズの値段の逆転は、ビッグマックと流れが似ている。

 韓国のスターバックスは2006年に3800ウォンだったカプチーノの値段を2度引き上げ、7年後の現在は4400ウォンとなっている。引き上げ率は16%だ。日本スターバックスは同品目の価格を1度引き上げ、現在380円(韓国では4180ウォン)で販売されている。
 こちらは引き上げ率が12%だ。
 2012年に値上げしたとき、スターバックスは
 「大幅に上昇した牛乳、コーヒー豆、人件費、賃貸料など、各種の直間接的な運営コストを反映し、値段を調整した」
と説明した。

 比較可能なそのほかのブランドはユニクロだ。
 ユニクロは日本のブランドだが、各国の売り場で販売されている衣類の70%を中国で生産している。
 残りはバングラデシュ、ベトナム、インドネシアの工場で生産する。
 日本を通さず、全て販売国に向け直接輸出されているため、日本と韓国の輸入コストはほぼ同じになる。

 ところが、ユニクロのヒット商品「ヒートテックの半袖(メンズ)」と「エアリズム(レディース)」は、日本では990円で販売されているが、韓国では1万4900ウォンで販売されている。
 ソウルの売り場と福岡の売り場を調査したところ、レディースのかばんやランニングシャツのように日本で990円で販売されている製品が、ソウルでは1万4900ウォンで売られていた。

 日本で990円で売られている製品がソウルの売り場にも並ぶようになったのは、ウォン・円レートが円高に振れた2008年だった。
 当時の為替レートを反映し、価格が策定されたわけだ。
 ウォン・円レートが100円=1500-1600ウォンだったときは、同じ品目の値段は日本の方が高いときもあったが、1500ウォンを下回った時点から価格の逆転現象が生じ始めた。
 その時点が昨年半ばだった。
 ユニクロの関係者は
 「生産から販売まで8カ月かかるため、生産した時点の為替レートを反映し、販売価格を決めている。
 今後もウォン高が長期化すれば、追加で価格調整する可能性もある」
と話した。

 旅行客たちは特に為替レートの変動に敏感だ。
 ウォン・円レートが円安に振れ、今年韓国を訪問した日本人観光客の数は半減した。
 2012年4月の第3土曜日に大韓航空で仁川-成田路線(KE701・702便)を利用した日本人は502人。
 今年4月の第3土曜日に大韓航空の同じ路線を利用した日本人は236人だった。
 4月15日に韓国を訪問したある日本人は
 「品質が日本と同じだということを前提にすれば、韓国製品の価格メリットはもう終わったようだ」
と話す。
 ウォン・円レートが100円=700ウォンだった2007年、韓国の対日本旅行収支の赤字額は31億ドル(約3030億円)まで拡大した。

■現在の日本の競争力は
 100円=700-800ウォンだった時代と同じ

 実質実効為替という概念がある。
 基準時を設定し、主な交易相対国(韓国を含む)との物価上昇率の差を反映した為替レートだ。
 基準時に比べて100以上なら高くなったことを、それ以下なら低くなったことを表している。
 高くなればなるほど自国商品の価格競争力が弱まったことを意味し、低くなればなるほど強まっていることを意味している。
 低くなるときは、自国の貨幣価値が下落すると共に物価が相対的に安定した場合、そのスピードはさらに速くなる。

 日本の円の実質実効為替は2011年10月に105で頂点を記録した後、低下し始め、今年1月には87にまで下がった。
 これは韓国の対日本旅行収支赤字が拡大し、日本製品の価格競争力が上昇した2007年と類似する。
 韓国銀行の関係者は
 「物価を考慮する際に、ウォン・円レートは100円=700ウォンだった2007年水準にまで下落した(円安)。
 韓国と日本の旅行者の立場からすれば、ウォン・円レートが円安に振れ、韓国の物価上昇の影響を同時に受けている」
と説明した。

福岡= 鮮于鉦(ソンウ・ジョン)週末ニュース部長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版





【「底知らず不況」へ向かう韓国】


_