2013年5月9日木曜日

船頭なき韓国政権:明日への展望なき政体の末路は





朝鮮日報 記事入力 : 2013/05/09 12:53
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/09/2013050901230.html

組閣の遅れに加え、全ての公約のロードマップ作成に時間費やす
朴槿恵政権の経済政策が「スローモーション」なワケ

 日本の安倍政権が「デフレ脱出」という目標に向かって、いわゆる「アベノミクス(安倍首相の経済政策)」を進める一方、4月25日で発足から2カ月を迎えた韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)政権は、経済政策に関する限り「スローモーション」だ。
 この2カ月間に発表された主な施策は、追加補正予算19兆3000億ウォン(約1兆7150億円)の計上と、4月1日に不動産総合対策を発表したことくらいだ。
 野党の反対により、政府組織法の改正が遅れたことで、新たな政府組織の発足が遅れたことによる影響が大きい。

 また、大統領選挙での公約を全て守るという朴大統領の意向を受け、全ての公約についてロードマップ(工程表)を作成する作業が同時多発的に行われているため、スピードを上げられないのが実情だ。
 「創造的な経済」は5月中、投資の活性化に関する方策は5月半ばにロードマップが公開される見通しだ。
 国会に提出される追加補正予算も
 「国民生活を再生するという本来の目的とはかけ離れた予算配分だ」
という野党の反対に直面しているため、5月中にようやく国会を通過するとみられる。

 ニア財団のチョン・ドック理事長(元産業資源部〈省に相当〉長官)は
 「朴槿恵政権が安倍政権とは異なり、国民に対し明確なメッセージを伝えられずにいる。
 こんなことでは、105種類のロードマップを作成するため任期1年目を無駄にした盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の轍を踏むことになりかねない」
と指摘した。

■食い違うメッセージ

 政府と中央銀行の息が合っている日本とは違い、朴槿恵政権は省庁ごとに異なるメッセージを発し、市場に混乱をもたらしている。
 代表的なのは政府の企業に対するメッセージだ。

 朴大統領は4月15日の首席秘書官会議で
 「企業が保有している現金52兆ウォン(約4兆6000億円)のうち10%を投資するだけでも、追加補正予算に匹敵するくらい景気を刺激する効果が期待できる」
と述べ、企業の投資を呼び掛けた。
 ところが、国税庁や公正取引委員会は、税務調査や不公正取引調査によって、企業に対し全面的に圧力を掛けている。
 国税庁は「地下経済の可視化」という大義名分を掲げ、底引き網式の税務調査を行い、企業から不評を買っている。
 ハン・イホン元大統領府経済担当首席秘書官は
 「中堅規模以上の企業で、国税庁の税務調査や公取委の調査を受けたことのない所はないほどだ。
 がん患者を治療すると言って、全身に放射線を照射するようなものだ。
 がん細胞(大企業による不公正な行為)だけでなく、正常な細胞(企業の投資)まで殺してしまう」と語った。

 政策の需要者である企業の立場では、経済の活性化が第一なのか、それとも「経済民主化」に代表される取引慣行の改善が第一なのか判別できない。
 このような事情があるため、朴大統領が
 「肌で感じられるくらい確実な規制緩和を行い、国民が体感できるようにしたい」
と主張したところで、企業はなかなか重い腰を上げられない。
 全国経済人連合会(全経連)のペ・サングン経済本部長は
 「朴大統領は企業の投資を呼び掛けているが、国税庁や公取委は連日のように企業たたきに狂奔している。
 一体どっちに合わせればいいというのか、もどかしい思いだ」
と話した。

■「ロードマップの作成」に時間を費やした盧武鉉政権の二の舞を懸念

 政府が一糸乱れぬ姿勢を示せない最大の理由は、国政課題の約半数について優先順位や実行計画が決まっていないためだ。
 政府は2月末に「朴槿恵政権の国政課題」を公開したが、この資料を見るだけでは、どの課題を優先し、どの省庁が分野別の課題を担当するのかが明確ではない。
 省庁ごとに「創造」を口にしているが、司令塔は一向に見えず、また公取委や金融委員会、企画財政部が「経済民主化」に言及しているものの、実行する範囲は依然としてあいまいだ。
 政府は最近になって、国政課題ごとに実行に向けた方策の検討を始めたが、そのスピードは遅々としたものだ。

 専門家たちは公約に足を縛られた朴槿恵政権の現在の様子が、10年前の盧武鉉政権と似ている、と指摘している。
 朴槿恵政権が140種類の国政課題について作成を進めているロードマップは、盧武鉉元大統領が元祖だ。
 盧元大統領は2002年の大統領選挙で当選した後、公約を実行するため、省庁別に政策目標や工程を盛り込んだロードマップを作成するよう指示した。
 その結果、財政・税制改革や市場改革、労使関係などに関する105種類ものロードマップが作られた。

 康奉均(カン・ボンギュン)元財政経済部長官は
 「朴槿恵政権が盧武鉉政権の失敗を繰り返さないためには、無理な公約を全て守ろうという欲を捨て「選択と集中」を通じ、絶対に必要な課題に取り組むべきだ」
と指摘した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/05/09 12:58
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/09/2013050901234.html

韓国の経済政策チーム、発足当初から不協和音

 日本の経済政策では、首相、副首相、中銀総裁というラインが、豊富な行政経験に基づき強固なチームワークを発揮しているのに対し、韓国の経済政策チームは発足から1カ月以上がたっても、まだ意見調整が付かず、当初から不協和音が生じている。

 経済政策チームの協調が取れていなかった代表例が基準金利の引き下げをめぐる企画財政部(省に相当)と韓国銀行の神経戦だ。
 朴槿恵(パク・クンヘ)新政権は景気低迷に対処するため、不動産対策(4月1日)、追加補正予算案発表(16日)などを通じ
 「マクロ政策はパッケージが重要で、金融・通貨政策もパッケージの一部だ」
とする立場を重ねて強調した。
 ヒョン・オソク経済担当副首相と大統領府(青瓦台)の趙源東(チョ・ウォンドン)経済首席秘書官もそうした立場を公に表明し、利下げに対する期待感を高めた。

 しかし、金仲秀(キム・ジュンス)韓銀総裁はそうした期待を覆し、先月の基準金利据え置きを決定した。
 金利据え置きが発表された直後、政府内では「手足の動きがばらばらでは仕事にならない」という不満が噴出した。
 景気浮揚に向けて総力戦で臨まなければならない状況で、韓銀が政府の足を引っ張ったからだ。
 さらに、金総裁は先月22日、国会での業務報告で
 「市場に誤ったシグナルを送ったことはない。
 市場が私を信じなかった」
と発言し、市場との意思疎通ができないことを正当化しようとしているとの批判を受けた。

 経済運用の中心を担うべきヒョン・オソク経済担当副首相の存在感が感じられないとの指摘もある。
 公正取引委員会が強引に推し進めようとして保留した大企業の系列企業間発注に対する制裁、地下経済のあぶり出しに向けた国税庁と金融委員会の情報供給をめぐる意見対立など、懸案の調整で副首相の姿が見えない。
 ヒョン副首相は先月、就任後初めて主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席したが、日本の円安政策に対するけん制策を打ち出すことに失敗したと批判されている。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/05/09 12:55
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/09/2013050901231.html

朴槿恵政権と盧武鉉政権、発足時の経済状況が酷似
前政権から引き継いだ難題、北朝鮮情勢も

 朴槿恵(パク・クンヘ)政権が直面している経済状況は10年前と似ている。
 朴政権が発足するや否や、北朝鮮が中距離弾道ミサイルの発射に向けた動きを見せ、核のリスクを高めているのと同じように、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が発足した2003年も、北朝鮮が核保有を宣言し、韓国は戦争の脅威に直面した。

 朴政権と盧政権はまた、前政権の与党から大統領が誕生し、政治基盤を引き継いだものの、同時に前政権からマイナスの遺産を引き継いだという点でも共通している。
 盧政権は金大中(キム・デジュン)政権から引き継いだ、300万人に及ぶ多重債務者の問題を処理する過程で、いわゆる「クレジットカード大乱」を招いた。

 その余波で内需は極度に低迷し、盧政権初年度の経済成長率は任期中でも最も低い2.8%にとどまった。
 一方、朴政権もまた、李明博(イ・ミョンバク)政権が解決できなかった1000兆ウォン(約88兆9100億円)もの個人負債の問題を抱えることになった。

 政権発足当初の過剰ともいえる意欲や、政策をめぐって大統領府と閣僚の意見が食い違う事態も共通している。
 盧政権で初代の副首相を務めた金振杓(キム・ジンピョ)財政経済部(省に相当)長官は、左派政権に対する企業の不安感を一掃し、投資を促進するため、就任直後に
 「企業が国際競争力を確保できるよう、法人税率の引き下げを検討する」
と発表した。
 だが、大統領府が直ちに
 「法人税率の引き下げは政府の方針として確定していない」
と反論したため、企業の不安感は解消するどころか、かえって増大することになった。
 企業が投資をためらう中、2003年の就業者数は3万人も減少した。
 韓国で雇用が減少したのは、アジア通貨危機以降では初めてのことだった。

 韓国経済を取り巻く世界の経済状況まで考慮すると、現在の状況は10年前に比べさらに厳しい。
 2003年当時の世界経済は、インフレを伴わず成長が続く時代に差し掛かっていた。
 世界全体の経済成長率は03年の3.6%から、04年には4.9%、05年は4.6%、06年は5.3%、07年は5.4%と上昇が続き、08年に米国初の金融危機が発生するまでは、前例がないほどの好況を呈していた。
 だが今年は、米国や欧州などの先進国が財政危機に見舞われ、世界的によくない条件の下にある。国際通貨基金(IMF)は先月16日
 「今年の世界全体の経済成長率は鈍化するだろう」
との見通しを示し、成長率の予想を3.5%から3.3%へと下方修正した。






【「底知らず不況」へ向かう韓国】


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