2013年6月15日土曜日

「翼があっても飛べない韓国経済」:翼を切り捨てた、という自覚がない奇形構造

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●奇形構造の旗手 SAMUSUNG


朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/15 12:01
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/15/2013061500826.html

【コラム】翼があっても飛べない韓国経済

 朴槿恵(パク・クンヘ)大統領がしばしば使う「経済復興」という単語には、韓国経済を再生させたいという意欲が込められている。
 現在は好ましい状況ではないが、過去のある時代を想定し、その時代を取り戻そうという意味だろう。
 だとすれば、どの時代の経済へと回復させるつもりなのか。
 いったい韓国経済がどういう位置に立っていると考え、復興を口にしたのか。

 大統領就任100日を過ぎ、多くの疑問点が解決されようとしている。
 閣僚・次官に就任した政権幹部の発言を総合すると、復興という言葉は、朴正熙(パク・チョンヒ)大統領時代が最高の繁栄期だったという前提で使われていると解釈可能だ。
 大統領自らが輸出振興会議を開き、セマウル運動(韓国の農村改革運動)を盛んに取り上げることを見ても、官僚出身の人選を見ても、他の解釈は正しくない。

 とはいえ、1人当たり国民所得100ドル、物価上昇率25%という時代に戻ろうというわけではないらしい。
 経済が高度成長を遂げながら、夢と希望を抱き、楽しく働いていたあの雰囲気を取り戻そうという趣旨ではなかろうか。

 朴大統領は政権を握る過程で、世界的な金融危機が追い風になったといえる。
 その理由として、二つの点が挙げられる。

 最近5年間は経済に対する国民の期待がとりわけ大きかった時期だ。
 国全体が危機を経験し、朴大統領が父親のように経済を再生するのではないかというイメージがつくられ、ついには国家指導者になることができた。

 金融危機は全世界につらい試練を与え、資本主義社会の恥ずべき欠陥が次々と浮上した。
 しかし、20世紀初めの世界大恐慌前後のように、共産主義革命が起きた国はなかった。
 社会主義的な政策を取った国は多かったが、どの先進国も新興国も社会主義がブームとはならなかった。
 1%の持つ者と99%の持たざる者の問題が浮上しても、正面衝突で国家指導勢力が覆される逆転劇は起きなかった。

 共産革命や社会主義の熱風が吹き荒れ、その波乱が国内に押し寄せ、階層間の対立が大爆発を起こしていれば、朴槿恵大統領の誕生は不可能だったはずだ。
 多くの欠点を抱えつつも、資本主義市場経済が今でも人間に幸福をもたらす上で競争力を持つ体制だという合意が形成されていたからこそ、朴大統領の勢力が政権をつかむことができた。

 そうした時代背景で生まれた現政権は、韓国経済の立ち位置もしっかり把握しており、経済が行くべき方向も知っている。
 それでも「経済はいったいどうなってしまうのか」という不安げな対話が周囲から多く聞かれる。
 今年の成長率予測値を2.3%から2.6-2.8%に引き上げるといっても反応はいまひとつで、来年は4%前後の成長が見込まれるといっても信じない。

 企業であれ、家計であれ、壁の中に閉じ込められているような雰囲気に抑え込まれている。
 専門家の中には「このまま5年間を過ごすことになるのか」と不安を口にする人も少なくない。
 浮かれるどころか、何か機会をつかめそうだという希望の言葉もなかなか聞かれない。

 朴槿恵政権の経済担当者は、余裕が感じられない国民が多いのは、一時的な景気低迷のせいだと判断しているようだ。
 打ち出された景気対策はいずれも単発の浮揚策ばかりだ。
 経済復興という大きな目標に見合う抜本的な対策は見えない。

 現在の韓国経済は、翼があっても飛べないニワトリに等しい。
 韓国経済というニワトリは、利下げを行い、財政支出を増やせば、はばたいて止まり木の上までは飛ぶが、餌がなくなると再び地面に下りてしまう。
 過去10年間の韓国経済はそうだった。

 二つの翼のうち、製造業・輸出企業が率い、力強く大空を飛んだ朴正熙製の翼は退化して力を失った。
 もう一方の内需とサービスを担う翼は、行政による規制、既得権を握る勢力の利害に縛られ、使い物にならない。
 新たな翼が体から生えることもない。
 ベンチャー企業に数十兆ウォン(数兆円)をつぎ込んで支援を行っても、細い羽根が生えるだけで、巨大な胴体を浮き上がらせるエンジンにはならない。
 狩りを行うために長距離を飛ばない鳥は、地面に散らばった餌に満足し、家の周辺数十メートル以内を飛び回るだけの存在となる。

 成長ペースが落ちれば、国の経済が翼を広げることができる活動半径も小さくなる。
 市場経済体制が金融危機を乗り切って生き残ったからといって、朴正熙時代に通じた処方が全て有効だとはいえない。
 金融・労働など重要分野で大きく方向転換すべき時期が来ている。
 朴槿恵大統領は経済が鉄格子の中に閉じ込められているような息苦しさを解決することで復興を目指すべきだ。


 客観的にみて韓国経済は奇形構造になっている。
 その奇形とは「翼を失って」、まるまる肥えてしまった姿であろう。
 そして今、その肥えた姿が痩せ細りつつあるということである。
 肥えるために「翼を切り取った」ために、痩せつつあるのに「飛ぶことができない」状態になってしまった。
 飛べずにドロ沼でもがいている鳥のように見える。
 羽があると思ってバタバタさせるが、羽はすでに自分で切り取ってしまい、いまはない。
 ということは、肥えて中国のブロイラーとなるのが残された道のようにも思える。


朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/16 05:22
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/16/2013061600050.html

国家・社会貢献度の高い韓国企業は?
1位はサムスン電子、2位は現代自
朝鮮日報・企業貢献評価院、1800社の事業報告書を調査

 2008年9月に米国発の金融危機が発生して以降、「雇用なき成長」は韓国経済の問題として浮上した。
 企業は着実に成長を繰り返すが、雇用はさほど増えないというものだ。
 しかし実際は金融危機以降、売り上げの成長率に比べて相対的に雇用が増えていたことが分かった。
 金融危機以前の2001-07年には売上高が100億ウォン(現在のレートで約8億4500万円、以下同じ)増えるたびに雇用が0.4人増えていたが、金融危機以降の2008-12年には5.3人にまで伸びたことが分かった。

 朝鮮日報と韓国企業貢献評価院が、有価証券市場やコスダックに上場している1800社の2001-12年にかけての事業報告書を全て調査した結果、「雇用なき成長が続いている」といった通念とは違い、働き口を新たに創出することが結局企業の成長につながっていたことが分かった。
 調査には、韓国会計学会のイ・ジョンチョン会長をはじめとする会計学や経営学の教授9人が参加した。
 また、1800社の国家と社会に対する貢献度を分析した結果、1位はサムスン電子、2位は現代自動車だったことが分かった。
 調査結果をベースに朝鮮日報公益セクション「より良い未来」は13日、ソウル市中区のプレスセンターで韓国公認会計士会・韓国企業貢献評価院と共に「2013年韓国企業国家・社会貢献度」カンファレンスを開催した。

■企業成長が働き口の創出に

 調査では、国内経済で高い割合を占める10大産業が雇用創出面で寄与率が高いことが分かった。
 建設、自動車、電子、通信、化学などの10大産業は金融危機以降、売上高が100億ウォン増加するたびに6.2人を追加で雇用していた。
 金融危機以前は雇用増加が1.4人にとどまっていた。

 特に今回の調査では、研究・開発(R&D)投資の方が設備投資よりも雇用や売上高の拡大により効果的だとの結果が出た。
 2001年から12年にかけて、企業が設備投資を1億ウォン(約845万円)増やすたびに、雇用は0.4人増にとどまった一方、同期間にR&Dの投資額が1億ウォン増加すると、雇用は1.3人増加していた。
 また設備投資額が1億ウォン増えた場合、売上高は約2億ウォン(約1700万円)の増加にとどまったが、R&D投資額が1億ウォン増えると、売上高は15億ウォン(約1億2700万円)以上、増えることが分かった。

 韓国企業貢献評価院のイ・ジョンチョン理事長は「何かと雇用なき成長が話題になるが、実際のデータは成長が雇用を新たに創出していたことを物語っている。特にR&Dに対する積極的な投資によって第2の電子、自動車、造船産業を育てれば、経済成長はもちろんのこと、働き口の創出も可能となる」と話した。

■10大企業の法人税納付額は40%以上

 国家と社会に対する貢献度が高い上位10社には、サムスン電子や現代自のほかに起亜自、現代重工業、KT、LG電子、LGディスプレー、ポスコ、韓国電力、サムスン重工業が入った。
 価値創出と外貨獲得、国民所得と国家財政、働き口の創出、国家競争力、社会・環境の計5部門を基準とした調査結果だ。

 サムスン電子は製品生産・輸出額、国民所得・国家財政寄与額、雇用人員、設備・R&D投資額、寄付額の5部門全てで1位となった。
 しかし、昨年1万5000人が勤務していたLCD(液晶画面)事業を分社したことで、国民所得への寄与額、法人税、雇用人数はやや減少した。

 また、国家・社会貢献度が高い上位10社の昨年の分野別集中度は平均30%以上であることが分かった。
 上位10社が製品・サービスの生産額(446兆ウォン=約37兆6700億円)分野に占める割合は34.5%だったほか、国民所得への寄与額(27兆ウォン=約2兆2800億円)の割合は36.5%だった。
 上位10社が昨年納めた法人税(6兆5790億ウォン=約5500億円)は1800社が納めた納税総額の41.5%を占めた。


  「翼がない韓国経済」、そんな形容が当てはまる下の記事。
 「行き詰まる主力事業…新規産業を開拓できぬまま高齢化」
 飛び立つ翼を失っているという自覚がないという悲劇。
 ドロ沼でもがくしかないのだろう。 

朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/17 08:09
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/17/2013061700428.html

韓国の10大業種トップ企業、平均で設立54年

 全国経済人連合会(全経連)の調査によると、過去50年間に韓国の10大産業で売上高トップだった企業の設立後の存続期間を比較したところ、平均が54年となり、産業の「高齢化」が深刻なことが分かった。

 各社の設立からの存続年数は、サムスン電子(半導体)が45年、LG電子(家電)が56年、現代自動車(自動車)が47年、ポスコ(鉄鋼)が47年、現代重工業(造船)が41年、SKエナジー(石油精製)が52年、LG化学(化学)が67年、サムスン電機(電子部品)が41年、新世界(流通)が84年、CJ(食品・飲料)が61年となっている。

 全経連のユ・ファンイク産業本部長は
 「新たに1位に浮上する企業が少ないのは、企業のチャレンジ精神が不足しており、中小企業が大企業に成長する生態系が働いていないことを示している」
と指摘した。

 主力の輸出産業も高齢化が進んでいる。
 昨年10月現在、韓国の10大輸出品目は、10位圏内に入ってから平均23年が経過していることが分かった。
 半導体、船舶海洋構造物、鋼板は35年、石油製品は28年、自動車、コンピューターは26年、合成樹脂は17年、それぞれ連続で10位圏内となっている。これは新たな産業が主力産業に成長できずにいることを示している。

 1970年代に国家的に集中育成した重化学工業と電子産業が数十年も韓国経済を支えていることになる。
 10大輸出品目のうち、2000年代に入り、新たに浮上したのは、自動車部品(03年)と平面ディスプレー(06年)だけだ。

 全経連は外国と韓国を比較すると、新たに育成すべき産業が多いと指摘した。
 米誌フォーチュンが選んだ世界500大企業には、航空宇宙が13社、製薬が12社、ヘルスケアが6社、飲料が5社、エンターテインメントが5社、ソフトウエアが3社入っているが、韓国の100大企業にはこうした業種の企業が1社もない。

 ユ本部長は
 「ヘルスケアなどサービス産業の場合、参入規制が厳しすぎ、成功企業が現れない。
 規制を思い切って緩和しなければ、外国のようにサービス産業やクリエーティブ産業で大企業は生まれない」
と指摘した。






【「底知らず不況」へ向かう韓国】



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