2013年6月16日日曜日

韓国の漢字教育が「失敗」した理由:韓国語での意思疎通が不可能になりつつある

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朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/16 05:03
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/16/2013061600044.html

【コラム】韓国の漢字教育が「失敗」した理由

 「パパ、『旅館』というのは女性だけしか泊まれない所なの?」(「旅」という字と「女」という字は共に「ヨ」と発音)

 「旅館ってなあに」という子どもの質問に、ある大学教授が「泊まる所」と答えたところ、子どもから返ってきた質問だ。
 次のように説明すれば、答えはもう少し簡単だった。
 「旅人の『旅』に客舎という意味の『館』を使うことから、旅館とは旅行中に泊まる家のことだ」。
 子どもは漢字が分からず、ただハングルで「ヨグァン」と書かれていたため、そもそも正しい答えを望むこと自体、最初から無理だったのだ。

 「尹昶重(ユン・チャンジュン)元大統領府報道官を更迭する」
との速報が流れたとき、ネット上では「更迭」という言葉が検索語の1位に浮上した。
 「ある地位にある人を入れ替え(迭)、他の人に変える(更)」
という更迭の意味を調べるためにアクセスが集中したわけだ。
 最近では、「弊害」「カード決済」「類例のない」などのハングルのつづりを誤って使っているケースが多く、ネット上でも多数見掛ける。
 この中には学術論文やメディアの記事も少なくない。
 これらは全て、音をそのままハングルに置き換えてしまったところから生じた過ちだ。

 「漢字教育を強化してほしい」と主張する人々の大多数は
●.「韓国の古典を解読できなくなった」
●.「人格教育に問題が生じる」
●.「北東アジアを中心とした時代に移り変わっていく中で、隣の中国や日本との交流が困難になる」
と心配する。
全て間違いではないが、もっと大切な理由がある。
 漢字が分からないために、現在われわれが使っている韓国語での意思疎通がうまくいかなくなってきているという点だ。

 「体罰禁止」の範囲は一体どこまでかという問題をめぐり、政府と一部の教育庁(教育委員会に相当)、現場である学校の解釈には、それぞれ開きがある。
 もし「体罰」の意味が「体に直接苦痛を与える罰」だということをもう少し多くの教師や生徒・児童たちが知っていれば、こうしたことにはならなかっただろう。
 ある高齢の医者は「『妊婦』が陣痛を訴えている」という際の
○.「陣痛(チントン)」と
○.「痛みを和らげるために鎮痛剤を打つ」という際の「鎮痛(チントン)」
の区別ができない若い医者が増えている」と嘆いた。

 「私の子どもだけはこんな目に遭わせたくない」という人々の思いが見え隠れする。
 2009年に教育部(省に相当)が行ったアンケート調査の結果、保護者の中で小学校の漢字教育に賛成と回答した人は89.1%だった。
 「今からでもいいから中学で漢字を教えてみてはどうか」という人もいる。
 漢字を教える場合、古文を用いて教えるケースが多いため、現代韓国語で必要とされている漢字語の勉強にはつながりにくい。
 「漢文」という教科は、大学修学能力試験(修能=日本の大学入試センター試験に相当)で「第2外国語」に分類される。
 子どもたちにとって漢字とは、まさに「不慣れな外国語」そのものなのだ。

 最近「漢字教育の活性化に向けた政策シンポジウム」(4月16日)や「語文政策正常化を促す国民大会」(5月10日)が相次いで開催されているが、観客席を埋めたのは、ほとんどが60代以上の高齢者だった。
 30代以下は片手で数えられるほどしかいなかった。
 ハングル専用化政策により、漢字が小学校の教科書から姿を消してはや43年が過ぎようとしている。
 今では漢字が若い世代から忌み嫌われる対象となってしまった。
 厳格な祖父が古書を片手にむちで叱りつけながら孫たちを教えるという古いイメージから脱しない限り「夢は恋愛人(発音が同じ『芸能人』の誤記)になること」というような誤った言葉が堂々とまかり通る社会になってしまうだろう。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/06/30 09:41
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/06/30/2013063000156.html

【萬物相】韓国人の語彙力と漢字教育

 ある中学校の歴史担当教諭から、こんな話を聞いたことがある。
 「最近の子どもたちの中には、安重根(アン・ジュングン)を医師だと思っている子もいる」。
 韓国で安重根を呼ぶときの敬称「義士」と「医師」の発音が同じためだ。
 記者は半信半疑だったが、実際にそのようなことがあるようだ。
 数日前、あるテレビ局のリポーターが、通り過ぎる子どもたちに
 「靖国神社について知っているか」
と尋ねたが、子どもたちは日本の戦犯を合祀(ごうし)している神社と「紳士」を勘違いしていた。
 「神社」と「紳士」も韓国語の発音は同じだ。

 昨年、KBSテレビの高校生対象のクイズ番組『ゴールデンベル』で
 「耳鼻咽喉科とは、体のどの部分の具合が悪い人が行く所か」
という問題が出た。
 易しい問題が10問ほど続いていたので、番組の制作スタッフたちもそれほど難しくはないと考えたようだ。
 ところが、この問題では間違えた生徒が続出した。
 「耳鼻咽喉科」の文字をばらし、それぞれ「耳」「鼻」「喉」を意味するということを知っていれば、簡単に解ける問題だった。

 もっとも、これは最近の子どもたちに限ったことではない。
 記者も小学校で仮分数や帯分数、中学校では積集合や因数分解といった数学用語を習ったが、それらの名称に込められた意味を知ったのは、大人になってからのことだ。
 最初に習った時、教師が用語の意味について、漢字の意味からきちんと説明してくれていれば、数学で苦しめられることもなかったと思う。
 理科の時間には、爬虫(はちゅう)類や両生類、甲殻類、火成岩、変成岩、堆積岩といった用語の意味、またそれらがどのような形をしているかを思い浮かべるのが困難だった。
 しかし、これらの用語に使われる漢字を知っていれば、もっと簡単に理解できたことだろう。

 国語辞典に掲載されている韓国語の語彙(ごい)のうち、70%は漢字語だ。
 子どもたちに知識を与える教科書では、漢字語の単語や用語が90%に及ぶ。
 漢字語を、誰でも簡単に理解できる簡単な純韓国語(漢字で表記できない)に変えることができればよいが、現実はそうたやすくない。
 このため、漢字を知らない子どもたちが、ハングルだけで書かれた漢字語の単語だらけの教科書で勉強するということは、暗号の解読並みに難しいことだ。
 勉強に対する興味を持てないだけでなく、内容を全く理解できないという事態にもつながる。
 これは何も、国語だけに限ったことではない。

 ソウル市教育庁(教育委員会に相当)が今秋から、小・中学校で教科書の語彙を中心とした漢字教育を行う方針を打ち出した。
 まずは希望する児童・生徒を対象に、放課後に国語や数学、理科、社会科の教科書に登場する漢字語を教えるという。
 語彙力がないまま勉強するということは、れんがを使わずに家を建てたり、銃弾を装填(そうてん)せずに戦場に行くのと同じことだ。
 漢字教育を学校の正規の科目とする必要があるが、すぐにそれができないなら、このような方法で一歩を踏み出すのがベターだ。



レコードチャイナ 配信日時:2013年7月1日 16時0分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=73870&type=0

朴槿恵大統領の中国語と朝鮮半島の“脱漢字化”
=「歴史は切っても切れない」―香港メディア

 2013年6月30日、中国人女性ジャーナリスト・閭丘露薇(ルーチュー・ルーウェイ)は香港フェニックステレビのニュース番組に出演、
 「韓国が文字を変えようともその歴史は中国とは切っても切れない」
と発言した。

 世代的に見ても、また家柄から見ても朴槿恵大統領は小学校、中学校で間違いなく漢字教育を受けていたでしょう。
 朝鮮半島の「脱漢字化」はかなり長い時間をかけて進められてきたものです。
 2005年、ソウルの中国語表記は私たちのなじみがある「漢城」から「首爾」に変わりました。
 ですがそれよりもずっと前、1446年の訓民正音の公布から韓国の脱漢字化は始まっているのです。

 二次大戦後、脱漢字化はさらに徹底されました。
 脱中国化が主要な目的だったのではなく、識字率の向上が目的でした。
 日本の植民地統治が終わった時点で、非識字率は78%と高かったので、難しい漢字ではなくハングルを普及させたのです。
 ただどのように文字を変えたとしても、その歴史は中国とは切っても切れない関係にあります。
 韓国の国家博物館を参観すると、面白い事実に気づくでしょう。
 韓国人が読めない彼らの歴史史料を私たち中国人は読めるのです。

 ただ近年、とりわけ今年に入ってから気になる動きが出ています。
 学校での漢字教育の促進を禁止すべきだと提案されているのです。
 韓国では中国語習得者に大きなニーズがあるにもかかわらずです。
 現在、韓国企業の多くが1000文字程度の基本的な漢字の読み書きができることを雇用の条件としています。

 中国語を学んだ朴槿恵大統領がその能力を披露されましたが、これは韓国社会にもう一度考える機会を与えるものでしょう。
 教育において中国語をどのように役割とするべきか?
 単なる外国語とみなすのか、それとも韓国語の補助的な言語とみなすのか?
考えるべきです。



レコードチャイナ 配信日時:2013年7月11日 14時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=74190&type=0

日中韓の共通常用漢字800字、選定草案が発表―中国メディア


●10日、日中韓の経済、政治、学術分野の協力関係を話し合う「第8回日中韓賢人会議」がこのほど北海道・洞爺湖町で開催され、日中韓3カ国共通の常用漢字800字の選定草案が発表された。写真は浙江省杭州市の中学生による書道。

 2013年7月10日、日中韓の経済、政治、学術分野の協力関係を話し合う「第8回日中韓賢人会議」がこのほど北海道・洞爺湖町で開催され、日中韓3カ国共通の常用漢字800字の選定草案が発表された。
 これは、日中韓が漢字文明の歴史に向けて新たな一歩を踏み出したことを示している。
 新華網報道を引用して10日付の人民日報が伝えた。

 8日、北海道洞爺湖町で開催された賢人会議「文化教育と民間交流」フォーラムの中で、日中韓3カ国の専門家が共通常用漢字800字を選定し、その草案を採択することに基本的に合意したことが本会議の重要な成果となった。

 「文化教育と民間交流」フォーラムの発起人である京都大学の松本紘総長が会議を総括するあいさつの中で
 「会議が発表した常用漢字800字は日中韓が共通の漢字文化を持つことの象徴であり、この文化協力プロジェクトは未来志向の関係づくりに向けた原動力の一つとなるとの認識で一致した」
と述べた。

 日中韓の共通常用漢字800字を編成した中心人物は、賢人会議の中国代表団メンバー、中国人民大学前学長の紀宝成(ジー・バオチョン)氏だ。
 紀宝成氏は
 「漢字は3000年余りの歴史を持ち、日本や韓国が漢字を使用した歴史もすでに1000年を超える。
 漢字は日中韓3カ国の共通する歴史文化遺産であり、3カ国文化交流の重要な絆でもある。
 本会議は原則として常用漢字表による草稿を採択した後、中国側は日本や韓国の関連する専門家とさらに討論と解釈を進め、2014年の賢人会議で最終的に選択する共通常用漢字を正式に発表するつもりだ」
と語った。

 賢人会議がこのたび発表した漢字草案800字の編成上のコンセプトは3カ国共通の常用漢字を選ぶことであり、中国の「現代漢語常用字表」や日本の「常用漢字表」、韓国の「教育用基礎漢字」を参考にしている。

 賢人会議は中国新華社、日本経済新聞社、韓国中央日報社の呼びかけで始まった3カ国の有識者によるフォーラムで、2006年から毎年3カ国交代で開催されている。

(提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/武藤)



聨合ニュース 2013年 10月 09日(水)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2013/10/09/0900000000AJP20131009001300882.HTML

韓国首相「言語純化運動」提案 「ハングルの日」式典で

【ソウル聯合ニュース】
 韓国の鄭ホン原(チョン・ホンウォン)首相は9日、ソウルの世宗文化会館で開かれた「ハングルの日」記念式典で祝辞を述べ、青少年の言葉の乱れや言葉の暴力などが社会問題になっていることに対して「全国民的な言語純化運動が必要だ」と語った。 

 鄭首相は
 「私たちは日常生活の中で卑語や俗語はもちろん、言葉の暴力までもが溢れているのを目にしている。
 時には暴力的な言葉が貴い命を奪う場合もある。
 特に成長期にある青少年に対する言語による暴力は物理的暴力に劣らない大きい傷を与えることもある」
と語り、これを正すための運動が必要だと述べた。

 鄭首相は
 「私たち皆が韓国語の使い手であり主人公であり、韓国の言葉をさらに美しく発展させるためには国民皆の努力が何より重要だ」
と繰り返し強調した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/10/10 11:31
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/10/2013101001617.html

【社説】科学的で美しいハングルに発展させるために

 ハングルの日が23年ぶりに公休日となった9日、世宗大王の銅像が設置されているソウル市中心部の光化門広場では、終日ハングル関連の行事が行われた。
 もちろんハングルを制定した世宗大王をたたえ、ハングルの優秀さを誇るイベント自体は非常に有意義なことだ。
 しかし567年前に制定されたハングルをいかに正しく使い、また言葉に豊かな意味を持たせて深化させてきたかを振り返ると、われわれは自省の念を抱かざるを得ない。

 ハングルの科学的な原理については世界の学者が認め、驚いているが、それほどまでに優秀な文字をさらに発展させること、つまり科学的思考がよりやりやすく、なおかつ論理的な言語に作り替えていくのは後代のわれわれに課せられた使命だ。
 ところが韓国人の多くは、ハングルで書かれた哲学の書籍を開くだけで目まいを感じるのが実情だろう。
 例えば「現存在」「即時的」「対自的」などの単語を目にしたとき、これはいったいどこの国の言葉なのかと疑問に思うだろう。
 これらは日本人がドイツの哲学を自分たちなりに消化して作り上げた言葉であり、およそ100年前に土壌が完全に異なる韓国に伝わったものだが、
 それ以来わが国ではこれらの言葉を自分たちなりに改良することも、また作り替えることもできなかった。
 これがまさにわれわれの現状なのだ。
 自然科学や社会科学の分野で使われる数々の概念を表現する言葉も事情は同じだ。

 オックスフォード英語辞典を開くと、数十種類の異なった意味を持つ単語が数多くわれわれの目に飛び込んでくる。
 それらは科学、哲学、文学はもちろん、あらゆる分野で使用されるうちに意味内容が豊かになっていったものだ。
 しかしハングル辞典にはそのようなケースはほとんど見当たらない。

 本紙と国立国語院が共同で企画した「ハングルは痛がっている」を読むと、インターネットはもちろん日常生活においても、本来とは異なった意味で使われている言葉や、完全におかしな文章があふれている。
 また若者たちは相手の親を侮辱する言葉や、身体障害者を侮辱する言葉を、ちょっと聞くだけでは何のことか分からないような形でごく普通に、時には標準語のように使っている。
 これでは美しく科学的なハングルを作り上げた先人たちに対してあまりにも恥ずかしいことではないか。

 ドイツが哲学の宗主国となった背景には、哲学者たちがドイツ語の意味や文脈を整理し、そのドイツ語を駆使して歴史に残る偉大な業績を残してきたという事実があった。
 英語が世界の言語となったのも、シェークスピアのような偉大な作家たちが英語を洗練させ、言葉の意味を豊かなものにしてきたからに他ならない。
 われわれもハングルの極端な転用や混用に伴う混乱と対立を一日も早く解消すると同時に、ハングルと韓国語を美しく正確に駆使し、なおかつ豊かな言葉に作り上げていく方向へと知恵を結集していかねばならない。





【「底知らず不況」へ向かう韓国】



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