2013年10月2日水曜日

韓米同盟に広まる亀裂:対中・対日戦略で迷走する韓米同盟の破綻?

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朝鮮日報 記事入力 : 2013/10/02 11:38
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/02/2013100201396.html

韓日安保も、ミサイル防衛も、思いやり予算もイヤ!10/02
韓米同盟60年、5つの難題

 韓米同盟60周年を迎え、韓米両国政府はさまざまな記念行事を開き、将来を誓おうとしているが、
★.戦時作戦統制権の移管再延期、
★.ミサイル防衛(MD)参加、
★.韓米日の三角安保同盟、
★.防衛費負担金問題
などさまざまな対立点が存在する。

(1).戦時作戦統制権の移管延期めぐる思惑

 米ワシントンポストは先月30日、韓国政府の官僚が今年夏から戦時作戦統制権の移管再延期を論点化しているが、米政府官僚は同意していないとした上で、一部は
 韓国が自国の防衛に責任を持とうとしないことに失望している
と報じた。
 韓国政府は今年初め、米国側に2015年12月に予定される戦時作戦統制権の移管時期を延期することを提案したが、
 米国側のこれまでの反応は消極的だ。
 今年5月にワシントンで行われた韓米首脳会談で、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は「安全保障環境などを考慮した戦時作戦統制権移管の慎重な推進」を強調したが、オバマ大統領は
 「韓国は15年に戦時作戦統制権を引き継ぐ準備を進めている
と指摘した。
 韓国国防部(省に相当)は2日に開かれる韓米安全保障協議会(SCM)で統制権移管の再延期について合意したい構えだったが、ヘーゲル米国防長官は「結論を出すのは早い」と表明しており、今回のSCMでの合意は事実上不可能となっている。

 韓国政府は
 「北朝鮮の3回目の核実験など過去数年間の韓半島(朝鮮半島)の安全保障環境が悪化しており、韓国軍の準備は不足している」
として、再延期を主張している。
 これに対し、米国側は自動歳出削減措置などで国防費を大幅に削減しなければならない状況で、戦時作戦統制権の移管再延期によって費用負担が膨らむことを懸念しているとされる。

 米国は韓国が「安全保障にただ乗りしている」とまで主張したとされる。
 韓国政府消息筋は
 「戦時作戦統制権の移管が再延期された場合、情報監視偵察、精密攻撃、ミサイル防衛などに対する韓国の投資が減少するのではないかと懸念している」
と語った。

(2).ミサイル防衛はぜいたくな兵器

 ヘーゲル国防長官はSCMへの出席に先立ち、戦時作戦統制権の移管に向け、韓国軍が備えるべき軍事力に関する質問を受け、「MDは明らかに韓国軍にとって大きな力になる」との見解を示した。
 昨年のSCMでパネッタ前米国防長官が「米国と韓国は(将来のMDについて)協議を続けている」と述べたのに続き、今年も国防長官が韓国のMD参加問題を取り上げた格好だ。

 デンプシー米統合参謀本部議長は先月30日、「北朝鮮の弾道ミサイルが韓半島はもちろん、域内の安全保障を脅かしている」とし、アジア各国が参加する「共同統合ミサイル防衛体制」を推進する必要性を強調した。

 韓国政府は「韓国型のミサイル防衛(KAMD)はMDとは異なる」と公式に否定しているが、米国側は韓国政府にMDへの参加を要求し続けている。
 韓国政府と韓国軍は韓半島という環境では、MDが「ぜいたくすぎる兵器」だとして、費用は少なくて済むKAMDを推進したい立場だ。

 韓国はMD参加に伴う費用問題のほか、中国の反発などを考慮し、MD参加に消極的な立場だ。

(3).日本との安保協力要求

 米国は長年、韓米日を結ぶ三角安全保障体制の構築を想定してきた。

 韓国を訪れているヘーゲル国防長官が先月30日、朴槿恵大統領を表敬した際、韓米日3カ国による安全保障関係を構築するためには、韓日間の懸案を整理する必要があると言及したのもそのためだ。

 しかし、韓日の安保協力には韓国の反対世論に直面する。
 最も端的な例が昨年の「韓日軍事情報保護協定」の密室合意をめぐる論争だ。
 韓国政府は昨年4月23日、同協定に仮調印した事実を公表せず、6月にひそかに閣議決定したが、調印直前に事実が明るみに出て、結局協定は結ばれなかった。

 米国際戦略問題研究所(CSIS)のラルフ・コッサ研究員は
 「米国と最も近い同盟国である韓国と日本が米国とはよく協力するが、
 韓日が互いに協力しないというのは、米国にとっては異常な状況だ」
と指摘した。

4).核廃棄物の再処理に難色

 韓国外交部の朴魯壁(パク・ノビョク)原子力協力大使を首席代表とする韓国政府代表団は、先月30日から2日間、ワシントンで米国と韓米原子力協力協定の改定に向けた第8回交渉を行った。

 韓米両国は今年4月、現行協定を16年まで2年延長することで合意し、3カ月ごとに交渉を開くことを決め、今回が合意後2回目の交渉だった。

 韓米両国は今回から3大争点である
▲.使用済み核廃棄物のリサイクル
▲.原子力発電所の燃料の安定的供給
▲.輸出競争力の確保
――などについて、議題別に交渉を進めている。
 韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官とケリー米国務長官は先月27日、国連総会出席に合わせ、ニューヨークで会談し、原子力協定改定を「同盟精神に基づき進めるべきだ」と表明した。

 しかし、米国が使用済み核廃棄物の再処理権限など韓国側の要求を受け入れるかどうかは未知数だ。
 交渉状況を熟知した米国側関係者は最近、韓国側関係者と会い、「米国は急ぐ必要はない」「交渉は容易ではないだろう」などと語ったとされる。
 朴槿恵政権発足直後、原子力協定改定問題が同盟関係を損ねることを懸念した米国は、交渉で時間稼ぎをしていたが、最近強硬な態度に逆戻りした格好だ。

(5).防衛費負担問題でも対立

 在韓米軍の駐留費用を韓米がどう分担するかを決定する防衛費負担金交渉は、現在韓米にとって最も重要な懸案だ。
 現行協定が今年末で満了するため、国会での批准手続きを考えると、来月までに交渉を妥結させなければならない。
 しかし、韓米両国は4回にわたり交渉を行ったものの、制度改善や負担金総額などをめぐり、意見の差を埋められずにいる。

 韓国側は今回の交渉で制度改善に焦点を合わせている。
 現在米軍は韓国が人件費、軍需支援、軍事建設など大枠で提供する資金と資材を米軍が希望する時期と項目に使用できる。
 年度内に使い切らなかった資金は翌年に繰り越されることもあり、繰り越しを禁止した韓国政府の予算会計原則に反すると指摘されてきた。

 分担金の総額でも、韓国は今年の8695億ウォン(約794億円)から減額することを目標としている。
 これに対し、米国は年間1兆ウォン(約913億円)以上への引き上げを求めている。
 米政府の財政悪化を受け、米国側の分担金引き上げ要求はこれまでよりも強いという。





朝鮮日報 記事入力 : 2013/10/02 11:34
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/02/2013100201376.html

対中・対日戦略で迷走する韓米同盟10/02
米国が韓国に参加を求めるミサイル防衛体制に、中国は強く反対
韓国が反対する日本の集団的自衛権行使、米国では容認の動き
朴大統領「北の核に対応するキルチェーンと韓国型ミサイル防衛体制を早期に確保」

 1日に60周年を迎えた韓米同盟が、中国や日本と関連する利害関係の衝突で大きなヤマ場を迎えている。
 韓米同盟60周年の記念行事に出席するため来韓した米国のチャック・ヘーゲル国防長官は、戦時作戦統制権移管時期の再延期について、韓国が米国中心の「ミサイル防衛(MD)体制」に参加する問題と関連付けることもあり得るとの考えを示した。
 また日本の安倍政権が推進中の集団的自衛権の見直しを事実上容認するとの考えもすでに表明している。

 北朝鮮などがミサイルを発射した場合、これを撃墜するために米国が東アジアで構築中の防衛体制が、すなわちMDだ。
 しかし中国はこのMDに対し「中国をけん制するためのもの」として強く反発している。
 また韓国政府としては、非常に高い上空を念頭に置いたMDではなく、低空でのミサイル防衛に力を入れるKAMD(韓国式ミサイル防衛体制)の構築を目指したい考えだ。
 そのため韓国と米国の間では利害関係が微妙に食い違っているのだ。

 さらに米国は軍事費の負担を抑えるために、日本による集団的自衛権の行使を容認せざるを得ないとの立場だ。
 集団的自衛権とは自国が攻撃を受けない場合でも、利害を共有する他国が攻撃を受けた場合、攻撃をしてきた国に反撃する権利のことをいう。
 米国は韓米日3カ国の協力体制を強固にすることを理由に、日本による集団的自衛権の見直しは必要と考えているようだ。

 しかし安倍政権による日本の軍国主義化を懸念する韓国政府としては、これを受け入れるのは難しい。
 先月30日に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領がヘーゲル長官に対し「歴史に逆行する発言を重ねる(日本の)指導者のせいで、信頼が築けない」と発言したのもそのためだ。

 韓米両国の2国間同盟においても解決すべき課題は少なくない。
 まず戦時作戦統制権移管の再延期と在韓米軍の防衛費負担問題で両国は今も妥協点を見いだせていない。
 原子力協定の改定問題でも両国の見解の違いは依然として大きい。

 朴大統領と米国のオバマ大統領は今年5月「韓米同盟60周年記念共同宣言」を発表し、その中で「同盟の一層の発展と強化」を宣言した。
 しかし現実問題として韓米同盟は東アジア情勢の変化に伴い新たなチャレンジを受けている。

 朴大統領は1日、韓国軍創設65周年を記念する国軍の日の記念行事に出席し
 「政府は強力な韓米連合防衛体制を維持しながら『キルチェーン』や韓国式のミサイル防衛体制など、核や大量破壊兵器に対処する能力を早期に確保する」
とした上で
 「北朝鮮政権は今なお核とミサイルに執着しているが、これらはすでに無意味なものになっていることを(韓国が防衛体制を十分に整えることによって)自ら認識できるようにしたい」
と述べた。
 キルチェーンとは北朝鮮の核兵器やミサイル基地などを探知し、これを攻撃する統合システムのことだ。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/10/02 11:31
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/02/2013100201364.html

【社説】戦時作戦統制権とミサイル防衛体制は別問題
韓国は自国の防衛に責任を負いたがらない」 
韓米同盟に広まる亀裂10/02

 韓米両国は2日、ソウルで両国の国防相と軍の複数の幹部が出席して第45回韓米安全保障協議会(SCM)を開催し、2015年12月に予定されている戦時作戦統制権の移管問題について話し合う予定だ。
 米国のチャック・ヘーゲル国防長官は9月30日の会見で、韓国軍が統制権の移管を受けるために持つべき力量について「最も重要なことはミサイル防衛(MD)」と発言した。

 米国はこれまで10年以上にわたり韓国に対し、米国中心のMD体制に加わるよう要求してきた。
 これに対し韓国は、米国のMD体制に加わった場合、天文学的な巨額の費用が掛かる一方で、韓国が手にすることのできる実益は少ないと考えてきた。
 また韓国がMDに参加すれば中国が反発し、そうなれば核問題をはじめとする北朝鮮リスクの統制がより困難になり、東北アジア情勢を一層不安定化させるという戦略的な予測もあった。
 韓国が米国の要求を受け入れてこなかったのは、これら一連の判断が作用したからだ。

 ところが統制権の問題となると、米国はMDとは逆に韓国から手を引こうとしており
 今度は韓国が米国を何とかして引き留めようと必死だ
1].かつて盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は2012年4月までに統制権を移管させることで米国と合意したが、
2].李明博(イ・ミョンバク)政権は自らの任期中となるこの時期までに移管を完了させるのは時期尚早という各界の指摘を受け入れ、15年末に先送りすることで再び米国と合意した。
3].今回、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は米国に移管の時期をもう一度先送りすることを提案したが、米国防省は予定通り15年までに韓国に統制権を移管する方針を変えようとしない。

 ヘーゲル国防長官が統制権移管決定の重要な判断基準としてMDを取り上げたことについては、統制権移管の時期に関して米国が譲歩する見返りに、米国は韓国に対してMDへの参加を求めているように外部からは見える。
 しかしこの二つの問題は実のところ関連性がない。
 韓国がMD不参加の方針を変えないことを理由に、米国が韓国の安全保障能力と関係なしに
 無条件で統制権を移管する
となれば、これは米国の韓半島(朝鮮半島)防衛公約を放棄するのと何ら変わりがない。
 韓国が統制権移管時期の先送りを何度も提案する理由は、北朝鮮がこれまでの通常兵器とは次元が異なる核兵器やミサイル能力を保有するなど、周辺の安全保障環境が根本から変化したからだ。

 米国のワシントン・ポスト紙は
 「韓国が統制権の再延期を求めていることについて、米国政府と議会の一部から『韓国は自国の防衛に責任を負いたがらない』として失望の声が上がっている」
と報じた。
 統制権と関連する協議がこのように韓米同盟全般に対する不信や不満として広がることは、韓国と米国の双方にとって望ましいことではない。
 統制権問題を検討するに当たっては、何よりも有事の際に韓国軍が統制権を行使する準備が本当にできているか、この点が最も大きな判断材料とならねばならない。 
 韓国軍に統制権が移管される予定の2015年12月まではあと2年2カ月しか残っていない。
 また移管が実現するかどうかが一層不透明となり、安全保障において不確実さが増大するようなことも決してあってはならない。
 韓米両国はきのう60周年を迎えたばかりの韓米同盟の根本精神に今こそ立ち帰るべきではないか。



聨合ニュース 2013年 10月 03日(木)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2013/10/02/0900000000AJP20131002001800882.HTML

韓国への統制権移管 米国防長官「真剣に受け止めている」


●SCMで握手するヘーゲル米国防長官(左)と金長官=2日、ソウル(共同取材団=聯合ニュース)

【ソウル聯合ニュース】
 ヘーゲル米国防長官は2日、ソウルでの韓米定例安保協議(SCM)後に金寛鎮(キム・グァンジン)国防部長官と共同で会見し、韓国が有事作戦統制権を韓米連合軍司令官(在韓米軍司令官兼務)から韓国軍へ移管する時期の再延期を提案したことについて、
 「韓国が提起した問題を非常に真剣に受け止めている」
と述べた。
 また
 「作戦統制権の移管には常に条件が付いていた。
 われわれはこの条件を検討しており、また条件について楽観的に考えている」
と強調した。

 金長官はこの問題について
 「両国は深刻化している北朝鮮の核・ミサイルの脅威など、流動的な朝鮮半島の安全保障情勢に特に注目しながら、
 『戦略同盟2015』に依拠し条件に基づく作戦統制権の移管を推進することで同意している
と説明。
 韓米共同の実務チームを構成し、移管の条件と時期に関する協議を続けていくと明らかにした。

 一方、ヘーゲル長官は会見で、
 「米国が進めているミサイル防衛(MD)システムへの韓国の参加を要請したか」
との質問に、韓国はミサイル防衛システムを持っており、双方が全く同じである必要はないが、相互運用性を備えていなければならないと答えた。
 韓国が構築中の「韓国型ミサイル防衛(KAMD)」と米国のMDがそれぞれ独自性を持ちながらも、情報を共有していく必要があるとの意味に受け止められる。




【「底知らず不況」へ向かう韓国】


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